われわれが用いる海洋調査船の一隻、水産総合研究センター東北区水産研究所所属の若鷹丸(692t)です。これから母港の塩釜港を出港して、北太平洋に向かいます。

 
フォトギャラリーメニューヘ
 

 CTDで水温・塩分を測定するためには、調査船で目的の場所へ向かう必要があります。
 水中グライダーは、あらかじめプログラムされた航路を自動航行しながら上昇・下降を繰り返し、水温・塩分やクロロフィル濃度、酸素濃度を測定する最新の観測機器です。CTDによる水温・塩分観測よりも高頻度のデータを得ることができます。

 動物プランクトンがどの深さに調べるための機器が、多層開閉式プランクトンネット(VMPS)です。
 細かい目合の網地が4枚ついており、海深く投入して巻き上げながら、任意の深度でネットを開閉することにより、一定の深さに分布する動物プランクトンを濾し取ります。
オットセイが遊びに来て、観測をのぞいていました。
カイアシ類の一種、
ネオカラヌス クリスタートゥス

 海の中で魚の餌となっているのは、体長が0.1-10mm程の大きさの動物プランクトンです。その中でも甲殻類の”カイアシ類”という生物が特に多くいます。
 カイアシ類は小さな生き物で、海流に逆らって泳ぐことはできません。しかし、数百メートルも上下移動する種類が知られています。それらは、昼は魚に見つからないように暗く深い層に分布して、夜に水面近くまで上昇して、浅い層に分布する植物プランクトンを食べています。

動物プランクトンの採集
水中グライダー
海面へ投入
海水の性質を調べる
調査船に乗って海へ行こう
甲板からクレーンで吊り上げて、水中に投入します。
 海洋観測は、海水の特徴を調べることから始まります。
水温・塩分はCTDという、水温、塩分、深さを測定する機械を用います。同時に、円筒状のニスキン採水器で様々な深度から海水を採取します。このCTDと採水器を取り付けた装置は時には水深6000mまで降ろして観測を行うこともあります。

左の写真の下についている緑色の機械がCTD、その上にニスキン採水器が24本付いています。
 海の生物や海洋現象を調べるため、私たち生物大発生に参加する科学者は、様々な観測機器を搭載した海洋調査船に乗船して研究を行っています。

水面に投下、観測開始!
この後、グライダーは海深く潜行しました。

 様々な深さから採取された海水は、海水の化学的な性質(塩分、酸素、硝酸塩、リン酸塩、炭酸、鉄濃度など)の分析のためにサンプル瓶に移し替えられます。バクテリアやプランクトンなどの生物のサンプルも同時に採取されます。

美しい太平洋の日没。

しかし、観測は24時間休みなく行われます。